2011年に発表された論文「Does nasal hair (vibrissae) density affect the risk of developing asthma in patients with seasonal rhinitis?」で、鼻毛が少ないと喘息の発症リスクが有意に上昇したことがわかっています。
結論
鼻腔ろ過機能を有する鼻毛の量は、季節性鼻炎患者の喘息発症リスクに対して保護効果を持つことを示唆する。
研究の背景
鼻に入る大きな粒子は、前鼻腔に存在する鼻毛によって捕集される。鼻毛の密度が高くなると鼻の濾過効率が向上し、反対に鼻毛の量を減らすとその効率は低下する。
鼻毛の量には個人差があり、それによって鼻のろ過効率に差が出ることがある。鼻のろ過機能の低下は、気道のアレルゲンへの曝露を増加させてしまう。
本研究の目的は、季節性鼻炎患者における鼻毛の密度が喘息発症リスクに及ぼす影響を明らかにすることである。
研究方法
233名の患者を対象に標準的な質問票を記入し、身体検査とアレルギー検査を行った。
患者は鼻毛の量によって3群に分けられた[少ない or 全くない、中程度、多い]。そして、喘息と鼻毛の量の関連性を評価した。
結果
75名 (32.2%) に喘息が検出され、そのうち45名 (60%) に花粉症も認められた。
喘息の割合は、少ない群、中程度群、多い群でそれぞれ44.7%、26.2%、16.7%であった。
鼻毛が少ないと喘息の発症リスクが有意に上昇した。
ディスカッション
鼻は気道の入り口にあり、有害な粒子やアレルゲンを補足して気道への侵入を防ぐ重要な保護器官である。粒子は鼻から入り、3 μm以上の粒子は鼻の前部にとどまり、0.5 ~ 3 μmの粒子は鼻粘膜でろ過され繊毛によって鼻咽頭に運ばれる。残りの0.5 μm以下の粒子は下気道へ用意に流れ込む。
鼻毛は前鼻腔に存在し、これらを通過する5 μm以上の粒子は毛に付着して脱落する。鼻毛は他の部位より大きいため、大きな粒子の侵入を容易に防ぐことができる。
鼻毛はムダ毛と考え、カットする習慣がある人は多いようだ。しかし、鼻毛の除去や欠如は、喘息発症のリスクになる可能性がある。今回の研究により、鼻毛が少ない患者は喘息が多いことがわかった。
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